【Study Diesel】⑤ 熱効率

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おはようございます。こんにちは。こんばんは。
グラシアです。

今般、国内でも徐々にシェアを伸ばしているクリーンディーゼル。新世代の内燃機関であるディーゼルエンジンを徹底的に解剖して行きます。第五回は「熱効率」です。




※当ブログ内容はあくまで個人の主観に基づくものであることご了承ください。
ご理解頂ける方は続きをどうぞ( ´ ▽ ` )




一般に、ディーゼルエンジンはガソリンエンジンより熱効率が良いという特徴があります。まずは熱効率とは何かをご説明します。


熱効率とはエンジンの性能を表す指標のひとつで、エンジンの効率の高さを示すものです。熱効率とは外燃機関や内燃機関の熱機関の性能のことで、一般的に0〜100%で表されます。内燃機関であるディーゼルエンジンやガソリンエンジンの熱効率は、燃料の持つ燃焼エネルギーがどのぐらいエンジン出力に変換できているのかを表します。
軽油やガソリンなどの燃料は燃焼時に一定の燃焼エネルギーを持ち、内燃機関のエンジンはそのエネルギーでピストンを往復運動させ、クランクシャフトで回転エネルギーに変換しています。
この回転エネルギーで仕事をできるエネルギー量がエンジン出力やトルクであり、エンジンスペックの高さを表す数値になります。

燃料の持つエネルギーの全てがエンジン出力に変換できたと仮定すると、熱効率は100%となります。しかし実際のエンジンは熱効率が100%になることはなく、様々な「損失(ロス)」によって熱効率は下がります。

損失には
冷却損失:エンジンの冷却に伴う損失
機械損失:エンジン部品の運動による損失
排気損失:排気温度による損失
放射損失:エンジンから熱の放射による損失
があります。



□ ガソリンエンジンの熱効率


ガソリンエンジンにおける燃料の燃焼エネルギーを100%としたときのおよその各損失は

燃焼エネルギー   100
冷却損失      -30
機械損失       -5
排気損失      -30
放射損失       -5
ーーーーーーーーーーーーー
エンジン効率               30      

となり、ガソリンエンジンの熱効率はおよそ30%程度となります。つまりエネルギーの実に7割をエンジン出力以外に失っていることになり、燃料が持つエネルギーをそこまで有効に使えていないことがわかります。

ガソリンエンジンでよく言われる「ポンピングロス」というものがありますが、これは最終的に冷却・排気損失に含まれるものであり、損失全体の約10%にも及ぶ損失になります。これは吸気がスロットルバルブを通過する際の吸気抵抗が損失となるものでエンジンブレーキとしても利用されます。



□ ディーゼルエンジンの熱効率

ディーゼルエンジンは仕様燃料と燃焼方式以外はピストンやクランクシャフトなどの構成はほとんどガソリンエンジンと同様です。ガソリンエンジンの熱効率は20〜30%が一般的なのに対してディーゼルエンジン(自動車用)の熱効率は40%程度となっており、ガソリンエンジンより1割以上良くなっています。

ディーゼルエンジンの熱効率が良い1つの要因にスロットルバルブがなくポンピングロスがないということがあります。ガソリンエンジンにはポンピングロスの原因となるスロットルバルブがついており、吸気量を制御する弁によってエンジン出力を調整しています。アクセル開度が少なく低負荷時には吸気量を少なくし、エンジンの出力に応じてスロットルバルブが開いて空気量が増えていきます。スロットルバルブが閉まるほど空気が通りにくくなるので吸気抵抗が増加し、ポンピングロスが増大します。

車は高負荷より低負荷でエンジン出力の低い領域で走行することが多く、当然にスロットルバルブが閉まり気味な傾向にあるので、ガソリン車はしばしばポンピングロスの大きい状態で走行していることになります。高速道路の走行時に燃費が向上するのは、負荷が大きくなりスロットルバルブが開くのでポンピングロスが減り、燃費の向上につながります。

一方ディーゼルエンジンは出力調整を燃料の噴射量によって調節しており、空気の流入量を調節する必要はありません。この特徴からディーゼルエンジンはターボチャージャーとの相性が非常に良くなっています。
(⇨ ディーゼルエンジンと過給機)
スロットルバルブのないディーゼルエンジンは、吸気量は常に全開でシリンダーに流入するためポンピングロスがなく、それが熱効率の良さに繋がっています。

またディーゼルエンジンの圧縮比の高さも熱効率の良さに貢献しています。一般に圧縮比が高いほど高温高圧になりそこで発生する爆発エネルギーが高くなるので、その分エンジンは大きなエネルギーを発生させることができ熱効率が向上します。ディーゼルエンジンの圧縮比は14〜22とガソリンエンジンの8〜10より高くなっており、ポンピングロスの有無と合わせて熱効率に10%の差がついています。
ガソリンエンジンはスパークプラグで火花点火を行い燃焼を行うので、異常燃焼(ノッキング)を防ぐために圧縮比を低くせざるを得ないという構造的な差でディーゼルエンジンの方が有利になります。



□ ディーゼルエンジンで増加する損失

ガソリンエンジンと比べ、ディーゼルエンジンは総じて熱効率で上回りますが、全要素において効率が良いわけではなく、いくつか損失の増加する要素が存在します。ディーゼルエンジンは高圧縮比のため、その燃焼エネルギーに耐えうる頑丈で重たい部品が必要になってきます。重量のある部品を動かすにはより多くのエネルギーを必要とし、これが機会損失の増加につながります。
また、高い燃焼エネルギーの一部を冷却水によって排熱を行なっているのですが、高エネルギーであるが故に排熱量も増加するため、冷却損失の増加に繋がってきます。さらに燃焼エネルギーの高さから放射損失も増加します。

これらの損失はガソリンエンジンのそれより増加しますが、ポンピングロスがなく高圧縮比による大きな燃焼エネルギーという点において、損失を上回ってガソリンエンジンより熱効率の点で有利となります。



■ まとめ

如何でしたでしょうか。頑丈で重たくてもそれを上回る熱効率の高さを誇るディーゼルエンジン。全ての状況に於いてそのポテンシャルが発揮されるわけではありませんが、扱い方によってはハイブリッドエンジンに引けを取らない燃費性能を叩き出すことも可能です。いずれにしろ、自分の走行スタイルによってエンジンを選択するのが最良と言えるでしょうね。


それでは今回はこの辺りでお暇しますね。
ありがとうございました。

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