JAは農家にとってどういう存在なのか

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今般、頻繁に話題に上がる農協と産直のあれこれ。
私はどちらも必要不可欠という立場ですが、農協に関して偏ったイメージが一人歩きしているように感じましたので少し思うところを認めさせて頂きました。


 戦後JAがどういう経緯で設立されたのか、その意義と本質とを理解している当該職員や関係する生産者がどれ程いるのでしょうか。"生産物の腐敗しやすさとその性質が招く取引費用の高さ"、これに対応するのが共同組合です。正しく機能すれば、扱えば農家にとってこれほどありがたいものはないでしょう。

 

 ですが現状は信用共済部門が肥大化、本業である経済営農を上回る利益を出しています。ところで、皆様は世界中にもJAと同じ"農協"と呼ばれる協同組合が存在していることをご存知でしょうか。ヨーロッパ等では特に果実・野菜部門において農協の市場占有率が高いのです。しかし日本の農協とヨーロッパの農協はすこし違今す。まず、日本は総合農協といわれる極めて特殊な形態をとっています。「ゆりかごから墓場まで」というように農業だけでなく貯金、共済、車、葬儀等々かつて農家にとってはなくてはならない存在でした。

 翻ってヨーロッパの農協といえば、その内容は殆どが営農経済事業に特化しています。中には国境を超えて事業展開する農協もあるというのですから、EU圏内である利点を如何なく発揮しているのでしょう。さらに重要なのはここからで、農協の理事会の構成と組合員参加に関する専門的な仕組みや方針は、共同組合の業績に大きく影響します。比例的議決権、専門的経営者による運営、外部の者の目による監督、地域代表としてではなく専門家であることや生産物に基づいた(生産品代表制)理事の選出といったことは、全てが協同組合の業績に良い効果をもたらしています。

 このような判然とした事実がある中で、今一度日本の農業協同組合に目を向けてみてください。旧態依然とした1人一票制、地域代表選出、経営は"偉大なる素人"…。なぜこんなにも違うのか。これには総合農協であるが故の高収益部門への傾倒、蔑ろにされてきた営農経済部門に尽きます。私の地域は全国的に見てもかなり上位の生産高を誇りますが、そこのJAでも有能な職員は信用共済へ、組合長は"高度な農業的技術"の伴わぬ農家の方。昔ある所で組合長の演説なるものを聞いた時には、口をついて出てくる定期貯金や共済のキャンペーンの話に閉口したのは記憶に新しいです。

 なるほど、これはJA離れも当然だ、商系の台頭や個人取引が普及し、農協の時代は終わった、とも言えるでしょう。しかし私の言いたいことはそういうものではありません。そうなってしまったのはあくまで"結果"であり、その原因を見ていかない以上第二第三のJAが必ず出てくると私は思います。そして、これまで農協が築き上げてきた販路や施設、農家同士の情報共有、莫大なスケールを捌くことのできる市場出荷は今後作物の栽培にのみ集中したい生産者にとっては必須となります。この栽培と販売の分業は、必要な技術、知識の違いもさることながら注ぐ労働量的にも非常に効率が良いのです。そしてそれは経営規模が大きくなればなるほどその便益も大きくなります。

 農協は農家が運営する農家のための組織です。今や日本のJAはその本質を忘れ利潤の追求に走っている真最中です。大切なのは、農家が声を上げることです。農家がルールを変えていくことです。私たちの利用しやすいように、私たちに最大限の便益が返ってくるように。私個人としては、いずれは信用共済部門と切り離され、専門農協として営農経済部門の発展に注力できる構造を作らなければならないと考えています。その上で、生産量に応じた比例的議決権制度の敷設、専門的経営者による運営、理事の生産品代表制、これらを取り入れて、適宜地域ごとに大きな1つの専門農協に合併していくのが理想だと思います。そうすることで、農家同士の情報共有はもっと効率的かつ深い内容まで届き、指導員もまたそれを学び、地域を超え技術が洗練されていけば、自ずと当該地域の生産量も伸びていくのではないでしょうか。

 現状地域ごとの単位農協はそれぞれが独立しており、かつ共済連から信連からノルマが降りてきます。この下請けのようなシステムでどうしたら営農経済に集中できるのでしょうか。同業が小規模で乱立すれば、サービスの低下や組織的倫理観の欠如に繋がります。実際、各地域のJAによりサービスの質や業務にかける思いや態度が"違いすぎる"のも問題です。農家を蔑ろにするような農協が一つでもあれば、同じ名を冠した組織は一様に蔑視されてしまうのです。しっかり経営努力をしている農協にとってはこれほど迷惑な話はありません。

 農協は、採算部門を切り離し営農経済のみでやっていくという気概と覚悟を持たなければなりません。信共の利益の上に胡座をかいているようでは、いつまで経っても発展はないのです。農家も総合農協の構造的問題を理解し、声を上げ、より自分たちの利益に繋がる組織作りを応援していかなければならないと思います。

 

長文になってしまい申し訳ありません^^;

今回はこれでお暇します。

ありがとうございました。

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